
66年、ボクが高校1年生の夏、
英語の歌詞なのに日本の情緒を感じるロッカバラードに出合った。
フランツ・フリーデル、「ドゥ・ユー・ノウ」。
英語詞は湯川れい子、作曲はブルコメの小田啓義、
なるほど、名曲「すみれ色の涙」を作った人だけある。
フランツ・フリーデルは、ドイツ出身のハーフである、
その頃は混血歌手と言われて独特の存在感を発揮していた。
それまでの彼は、歌謡曲っぽい曲を歌わされたり、
洋楽のカバー・バージョンを歌わせられたり、
挙句の果てにはドイツ民謡を日本語詞で歌わせられたり、
その端正なマスクと歌唱力だけで売ろうとさせられていた。
そしてこの年、ジャッキー吉川とブルー・コメッツをバックに
「ドゥ・ユー・ノウ」で一躍注目されることとなったのである。
その後、ブルー・ファイアというGSに挑戦したり、
69年には津川晃名義で「心がさむい」という中村泰士の歌謡曲。
一定のコンセプトを与えられずに時代に翻弄された、
と言っても過言ではない、とボクは思っている。
なお、「ドゥ・ユー・ノウ」のB面は、「マリナによせて」、
この邦題ではよくわからないけれど、原題は「Seven Nights」、
月曜日から日曜日までの一週間の夜を歌ったコレクション・アイテム。
そんな意味でも、ボクの大切な1枚なのです。

